読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

魔法少女のステッキ

好きなことを好きなだけ。

【感想】 『私たちが星座を盗んだ理由』 北山猛邦 ラスト数行への伏線を見逃すな!

『私たちが星座を盗んだ理由』 あらすじと感想

[商品価格に関しましては、リンクが作成された時点と現時点で情報が変更されている場合がございます。]

私たちが星座を盗んだ理由 (講談社文庫) [ 北山猛邦 ]
価格:831円(税込、送料無料) (2017/5/18時点)

〈あらすじ〉

 難病の女の子を喜ばせるため、星座を一つ消して見せる男の子を描く表題作ほか、5つの物語のすべてに驚愕のどんでん返しが待つ、ファンタジックな短編集。

 優しく、美しく、甘やかな世界がラストの数行で残酷に反転する衝撃は、快感ですらある。まさに、ミステリの醍醐味!

  • 恋煩い
  • 妖精の学校
  • 嘘つきの紳士
  • 終の童話
  • 私たちが星座を盗んだ理由

 

『恋煩い』『嘘つきの紳士』

 わりと読んだことがあるタイプの内容だと思います。裏切り者は近くに居るパターンですね。

『恋煩い』は土屋太凰さんでドラマ化されていました。

 ただ原作に忠実か?というわれるとかなり改変されている印象。私はドラマを見た後に小説に出会ったのですが、「似たトリックの作品があるのだなあ」と別作品かと思ったくらいの設定一致レベルです。

『妖精の学校』

 まず最後の一文『 20° 25' 30'' 136° 04' 11""』が何を表しているのかという謎にぶち当たります。これは沖ノ鳥島の座標を表しています。

 

 記憶を失った子供がある世界(島)に閉じ込められる。情報・知識が欠けた子供視点で環境が描写されているので物語の読解がより難しくなっています。

 

  •  杖のようなものを持つ魔法使い→警棒を持った軍人?(自国の?)
  •  巨大な黒い『影』→ヘリ

 を指しているのではないかと推測します。

 

 子供たちがどのように連れてこられたかは謎ですが、連れてこられた理由は沖ノ鳥島の所有権を得るため”だと思われます。

 島に人を住まわせることによって、島の所有権を得ようとしている、そのための人材が”妖精になる子供”なのだと思います。

 

 その場所は何処にも属さない! (p.107)

という敵対国(と思われる)からのメッセージの存在があります。

 

 図書室の本に隠されたメッセージ

 やがて訪れる妖精候補の君たちに告げる

 逃げろ!

 今すぐに逃げろ!  (p137)

 はおそらく自国の人間から出されたもの。

じゃあ、果たしてヒバリたちの未来は…?

 内容をひも解いていくと、残虐なやり方が見えてきて、ゾワッとします。

 

『終の童話』

 物語の結末を読者の想像にまかせるリドル・ストーリーになっています。

 

 石喰いという人間を石像にしてしまうモンスターが現れて村は大パニック!十数年、悲しみにくれ過ごす人々の前に、石像にされた呪いを解くことのできる男、ワイズポーシャがやってきて…。すると村では何者かによって石像が壊される事件が出てきて…。

 

 ウィミィはずっとその日を待ち続けていたが、エレナ姉ちゃんの劣化は激しく、呪いを解いても長生きできないと告げられる。

壊す・すぐ絶命すると知りながらも生き返らせる・そのままにしておく

 どの選択を彼が取ったのかは明記されていませんが、行動をとる前に『彼女を強く抱きしめた』のが切なくて仕方がないです。14年も待ったんだもの。

 

ウィミィはついに決断し、それを手に取ると、立ち上がった。 (P.311)

 とあるので、アイテムを手にしている、つまり彼女を石像のままという選択は薄いのかな、とも思いました。しかし、ワイズポーシャの死によってその選択も可能ではあるんですよね。

 

 1つ言うとすると、石像壊しの犯人は独白じゃなくて、謎解きっていう形で明らかになって欲しかったです。”傷だらけの石像”とか伏線はいくらでも作れるでしょうに!

『私たちが星座を盗んだ理由』

 表題作ですね。実はこの題名に魅かれて本作を手に取りました。

 

 夕兄ちゃんが時間を気にする素振りがチラホラあるので、先の展開が読めてしまった感が否めません。

 星座の盗み方うんぬんはロマンチックだとは思うんですが、天文学に興味がない私にはいまいち響きませんでした。

 三人の気持ちの交差が読みどころにあるので、『私たちが星座を盗んだ理由』というタイトルが生きてくるのかなあと思います。