魔法少女のステッキ

好きなことを好きなだけ。

【感想】 『ナイト&シャドウ』 柳広司

『ナイト&シャドウ』柳広司 あらすじと感想

[商品価格に関しましては、リンクが作成された時点と現時点で情報が変更されている場合がございます。]

ナイト&シャドウ [ 柳広司 ]
価格:810円(税込、送料無料) (2017/4/23時点)

〈あらすじ〉

 世界最強の警護官集団「シークレットサービス」での研修のとめ渡米したSP首藤(しゅとう)は初日、フォトジャーナリストの美和子と出会う。

 国際テロ組織が大統領暗殺を予告し緊張が走るなか、美和子が誘拐される。首藤は相棒バーンと共に警護を完遂し、彼女を助け出すことができるのか。

 圧巻のボディガードミステリ。

 

〈感想・ネタバレ有り〉

 ミステリー要素ももちろんおもしろかったですが、それと同じくらい様々なことを考えさせられた内容でした。

 

 SP vs テロリストといわれると「正義 vs 悪」という図を想像しますが、そう単純なことではなく…。

 一般的に”テロリスト””テロリズム”という存在から浮かぶのは理不尽や無差別、残虐といったところ。ただ彼らにもそこに至る背景があるのだと考えさせられました。

 

 本作では「アメリカの銃規制が進まない」ことが要因でテロを計画するキャラクターが出てきます。

 銃を用いた無差別なテロに巻き込まれて妻を亡くしたケインは、銃規制の活動を熱心に行ってきました。が、新大統領の誕生により今までの活動がふりだしに戻ってしまう。

 しかも、銃規制が為されないにも関わらず、大統領の行く先々では危険物(もちろん銃も)の持ち込みは禁止されているのです。

 この”矛盾”どう感じますか?大統領とこのテロリストの考え方、どちらが善でどちらが悪でしょうか?

 

 

 読み終えて気が付くんですが、テロリストを特定するヒントが至る所に少しずつ散りばめられていて、伏線を回収するのが見事でした。

 

 「美和子の姉」と聞いて日本人を想像してしまう点や、「白人」ときいて外国人を想像してしまう点。思い込みを覆されるという本ならではの面白さが有る作品でした。

 

 またシークレットサービスの研修内容や想定練習なんかは、詳しく描写されていて、目新しくて興味深いと共に、改めてカッコいい仕事だなあ、と。

 

 首藤の堅物で寡黙なキャラクターも作品にバッチリだったし、少し頼りない上司バーンと徐々にバディ(相棒)として様になっていく様子は、こういうジャンルならではですごく楽しいです。

 

 そういえば「警護対象に銃口が向けられたときは避けてはならない(つまり避けて守るのではなく、盾になって銃を受けろ)」という教えが出てくるのですが、これと同じようなフレーズを樋口明雄の作品でも見たことがあります。

 もしかして、SPや警察を描いた作品ではマストなことなのかもしれませんね。