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魔法少女のステッキ

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【感想】 『ジャイロスコープ』 伊坂幸太郎

ジャイロスコープ』 伊坂幸太郎  あらすじと感想

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〈あらすじ〉

 助言ありマス。スーパーの駐車場にて”相談屋”を営む稲垣さんの下で働くことになった浜田青年。人々のささいな相談事が、驚愕の結末に繋がる「浜田青年ホントスカ」。

 バスジャック事件の”もし、あの時……”を描く「if」。

 謎の生物が暴れる野心作「ギア」。

 洒脱な会話、軽快な文体、そして独特のユーモアが詰まった七つの伊坂ワールド。

  • 浜田青年ホントスカ
  • ギア
  • 二月下旬から三月上旬
  • if
  • 一人では無理がある
  • 彗星さんたち
  • 後ろの声がうるさい

 

〈感想・ネタバレ有り〉

 短篇が七編もあるので、書きたいモノだけ感想を書くことにします。

 

 『if』なんかは小説ならではで、映像だったら成り立たない内容だなあ、なんて思いながら読んでいた。”言葉遊び”というか、ちょっとパラレルワールドの話と思わせといて…!という導入は嫌いじゃない。むしろ好き。

 短篇なのでサラっと終わってしまうけれど、長編でもっと読者を翻弄させた内容を読んでみたいと思った。

 

 『一人では無理がある』は対照的に映像化されたものを見てみたいと思う作品だった。

 『一人では無理がある』

 サンタクロースが実は職業として存在しているという話で、おそらく多くの人がどこかで触れたことがある背景設定となっている。

 

 ただこのサンタクロース社、誰にでもプレゼントを贈るのではなく、虐待や孤児といったプレゼントをもらえる環境にいない子供にのみ働きかけるのだ。

 社員の松田は少しおっちょこちょい。「プレゼントは鉄板(のもの)だろ」と言われて、子どもに鉄の板、まさしく鉄板を贈ってしまった過去有り。

 しかし、彼のそんなミスは何故だか、子どもにとってプラスに働くのだ。

 

 ハートフルでくすっと笑えるので、映像化して欲しいなあと思う。

物語の始まりが、サンタクロースと全く関係ないことから始まるのも、読み手としてワクワクした。

 サンタクロース会社を題材にした作品はいくつかあるけれど、私は伊坂幸太郎の描いたものがファンタジーとリアリティーが入り混じっていて一番好きかもしれない。

 

 

 他に好みだったのは『彗星さんたち』かな。

 新幹線の清掃員さんたちを題材にした物語。

 ちょっと前にテレビや雑誌なんかで特集組まれていたこともありましたよね。「スピード清掃」とかで。

 一斉にダーっと椅子の向きを整えたり、頭のところの布(?)を取り替えたり、すごいスピーディーだった記憶があります。それと同時に整っているものって誰かがやってくれているんだよな、とごく当たり前のことを再認識した記憶も。

 

 この章で心に響いたセリフがあって

「もっと大変な人がいるから、なんて思ったらダメだよ。そんなこと言ったら、どんな人だって『海外で飢餓で苦しむ人に比べたら、まだまだ』なんてなっちゃうんだから」

 

「でも、あれね、気をつけなくちゃいけないのは、『わたしが一番大変』って思っちゃうことね。『わたしだけが大変』とか」 

(「彗星さんたち」P.209)

 

 ちなみに、 文中ではさくっと「千番目くらいに大変で(って思っておけば)いいんじゃない?」とあります。

 

 心にスーっと入ってきて、納得できた自分がいます。このセリフというか考え方はきっと今後の私の1つの心の持ち方になるんだろうな、と思います。

 

 『本を読むと人生が豊かになる』という教えがあって、「文庫本でも意味あるのか?」ってずっと思っていたんですけど、こういう不意に心に触れる言葉の存在とかを考えると、意味があるのかもしれないですね。