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魔法少女のステッキ

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【感想】 不連続の世界 恩田陸

読書

『不連続の世界』恩田陸 あらすじと感想

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〈あらすじ〉

 妻と別居中の多聞を、三人の友人が「夜行列車で怪談をやりながら、さぬきうどんを食べに行く旅」に誘う。車中、多聞の携帯に何度も無言電話が……。友人は言った。「俺さ、おまえの奥さん、もうこの世にいないと思う。おまえが殺したから」(「夜明けのガスパール」)

――――他四篇、『月の裏側』の塚崎多聞、再登場。恩田陸のトラベル・ミステリー!

  • 木守り男
  • 悪魔と憐れむ歌
  • 幻影キネマ
  • 砂丘ピクニック
  • 夜明けのガスパール

 

〈感想・ネタバレ有り〉

 恩田陸さんと言えば『蜂蜜と遠雷』で第156回直木賞を受賞されましたね。恩田陸さんの作品は多数読破しているので、勝手に誇らしくなってしまいました。『蜂蜜と遠雷』も早く読んでみたいです。

 

 ではでは本作の感想を

 『不連続の世界』では多聞(たもん)という男の周りで起こる事象に、あれやこれやと解決していくお話である。

 

 『木守り男』と『悪魔を憐れむ歌』は正直ちょっと苦手。ミステリーというよりSF小説っぽくて理解が追い付かない部分があった。

もともとSF小説は得意ではないし、「不可解な現象は、不思議な力が働いたから起きたのか?」って結論になると個人的に興ざめ。

 

 それ以降はすごく面白かった。(私好みだった。)

 『幻影キネマ』では

 多聞は受け持つことになったミュージシャンの男が何かにおびえているのに気が付く。(実は多聞はレコード会社勤務なのである。)

 「僕が映画の撮影現場に出あうと、人が死ぬんだ。」多聞は彼にそう打ち明けられた。

 

 ジンクスも行き過ぎると、強迫観念になってしまうということ。

例えば「この服を着ていたらやなことばかりだ」と思い込みが強いと、「この服を着ていると悪い事が起きなければおかしい」と無意識に思って行動してしまうことがあるらしい。

 

 ミュージシャンの彼も、過去に重なった偶然「撮影現場・人が死ぬ」にとらわれてしまっていて…。ちょっとハラハラするシーンもあって面白かったです。

 

『砂丘ピクニック』は文学的で読書家は好きだと思う。

 「この本に砂丘が消えたって書いてあるんだけど、どういうことだと思う?」と女性に誘われて多聞は砂丘にやってきます。

 

”蠱惑(コワク)的”なんて言葉初めてきいた。「人の心をひきつけ、まどわす」という意味なのですが、文庫本で辞書引いたの久々でした。

 

 「砂丘が消えた」って書いた作者の状況や心情を想像するシーンがあって、ぐっと読みいってしまいました。

 最終的に疑問が砂丘から違うことにすり替わっているんですけど、人間臭くてそれもまた良し。

 

 

 そして最終章の「夜明けのガスパール

 さくっとネタバレしますけど、ここまでの4編は壮大なフリです。

 読者はここまで読んで多聞という男は、起こる不思議な現象に惑わされない冷静で常識的な男だというイメージが植えつけられているはずです。

 

 男四人、夜行列車の旅で怪談話をすることになった。「元カノの子供に幽霊が会いに来る」という話をする人がいたり、「手術でお腹を開けたら髪の毛が出てきて、その髪の毛がその患者の彼女のモノに似ていた」という話をする人がいたり。

 

 読者としては、「さあさあ、どんな怪奇も多聞が解決しますよ」というスタンスなんですけど、この章で何かにとらわれているのは実は多聞自身なんです。

 ここで「だまされたー」ってなります。勝手に多聞のキャラを作り上げてしまっていたんですよね。前の章で「人は思い込むと抜けられない」って散々アピールされていたのに。

 

 あと「友人のところをあちこちしてて、おまえはつかまらなかった」って男Aに言われるシーンがあるんですけど、ここでハッとしました。これトラベル・ミステリーやん…?

 多聞、あちこち行って、謎解きしてたわ。

読んできたことが、ココにきてぐわーっと一気に繋がりだします。このパズルがハマる感じ、すごい気持ち良かったです。