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【感想】 『旅のラゴス』 筒井康隆

『旅のラゴス筒井康隆 あらすじと感想

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旅のラゴス改版 [ 筒井康隆 ]
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〈あらすじ〉

 北から南へ、そして南から北へ。突然高度な文明を失った代償として、人びとが超能力を獲得しだした「この世界」で、ひたすら旅を続ける男ラゴス

 集団移転、壁抜けなどの体験を繰り返し、二度も奴隷の身に落とされながら、生涯をかけて旅をするラゴスの目的は何か?

 異空間を異時間がクロスする不思議な物語世界に人間の一生を文明の消長がかっちりと構築した爽快な連作長編。

 

〈感想・ネタバレ有り〉

 いろんな読書家さんのサイトでオススメされていたので、ずっと読んでみたかった一冊です。

 

 このラゴスという男が生涯をかけて旅をする、という話。

行く先、行く先でその存在を認められるのに、ラゴスは次の地へ赴く。一体、何故彼は旅を続けるのだろう?

 

 読んでいくと、ラゴスという人物に違和感を感じる。彼には、”将来の欲”みたいなものが感じられないのだ。

 行く先々で文明を開化させていくラゴスは、その地で『神』や『天才』と謳われ、良い扱いを受ける。この場にとどまれば『将来』安定した生活ができるにも関わらず、『今現在』持っているこの疑問・欲求に対して動くことがラゴスにとっては当然のことのようであった。そうして彼はまた旅へ出発するのだ。

 

 まるでラゴスという人物は『今』しか目に入らないようだ。

奴隷にされた時でさへ「逃げ出す」なんて気持ちはなく、その環境でいかに効率的に過ごすかを考えるラゴスはちょっと人間臭くないなと感じる程であった。

 

 そんなラゴスの唯一(?)人間らしいと感じる部分は、彼の心の中にずっとデーデが居続けたことではないだろうか。

 旅をはじめたばかりの村で出会ったデーデをラゴスは愛していた。彼女もきっと同じ気持ちだった。

 続く旅の中で、時折村へ置いてきたデーデのことを思い出す。

人間臭くない彼の人間臭い部分だと、私は思っている。

 

 何十年という旅を終え、故郷に帰ってきたラゴス。しかしラゴスはまた旅に出る。

最期になるであろう旅はいままでとは全く違う目的を持ったものになるだろう。