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【感想】 『チェーン・ポイズン』 本多孝好

『チェーン・ポイズン』 本多孝好  あらすじと感想

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チェーン・ポイズン [ 本多孝好 ]
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〈あらすじ〉 

 本当に死ぬ気なら一年待ちませんか?

人気絶頂のバイオリニスト、陰湿な事件の被害者家族、三十代のOL。三つの自殺に不思議な関連性を見出した週刊誌記者・原田は、”死のセールスマン”が運んだらしき、謎のメッセージの存在を知る。

  「命の取り引き」がもたらす意外な結末とは?心揺さぶるミステリアス長編。

 

〈感想・ネタバレ有り〉

 これぞ”本多孝好”作品!という感じ。

 どこで高野章子と槇村悦子の話が入れ替わっていた?

 でも言われてみると、児童養護施設でのショウコ(P56~)の口調がそれまでに比べて男勝りに感じたんだった。すごい違和感を感じたのを思い出した。

 

 この段階ですでに高野章子と槇村悦子の二人が作中には登場していたんだろうか?

だとしたら全然気が付かなかった。

 あ~!もうすでに読み直したい!

私が一人の人格ショウコだと思って読んだ内容、どこが章子で、どこが悦子なんだろう。

 

ミステリー抜きの本筋ストーリーも見逃せない!

 一年後に死ぬことを決めたショウコは仕事を辞めた。そして生命保険に入ることにした。加入してから一年以上たてば、保険金が認められるものにした。

 

 暇を持て余していたところで出会った児童養護施設の存在。子供たちの遊び相手としてそこへボランティアで通うことになった。

 通い始めてしばらくたったころ、園長が倒れ、施設の存続が厳しくなる。

経営者もいない、続けていけるお金もない。施設の子供たちがバラバラになってほしくない、でもお金がない。

 「あと二か月たてば生命保険がおりる」という考えが主人公の頭に浮かぶ。

 

 このお金があれば数年は持ちこたえられるはず

  • あの子は絵がうまいから賞とかもらうようになるのかな
  • この子はきっとモテるんだろうな

と未来を想像するシーン。

 でもその未来のためには”自分の死”が大前提になっていて。

死を決めて、初めて私は私のいない未来を愛しく感じていた。その未来につながっている今のこの世界の何もかもをも、それならゆるせそうだった。(P313)

 

ただかなうことならば、神様、と私は思った。ほんの一目だけでもいい。私がいなくなくなったあとのこの子たちの姿を見てみたい。(P312)

この主人公の気持ちが切なくて、思わず泣きたくなるシーンだった。

 

 本多孝好の作品は”死生”を取り扱う作品が多いが、どの作品もこうジワジワくるものがあって、こんな生き方をしたいな、と思わせてくれる。