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魔法少女のステッキ

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【感想】 三月は深き紅の淵を  恩田陸

読書

『三月は深き紅の淵を』 あらすじと感想 

三月は深き紅の淵を (講談社文庫)

三月は深き紅の淵を (講談社文庫)

 

〈あらすじ〉 

 鮫島巧一は趣味が読書という理由で、会社の会長の別宅に二泊三日の招待を受けた。彼を待ち受けていた好事家たちから聞かされたのは、その屋敷内にあるはずだが、十年以上探しても見つからない稀覯本(きこうぼん)『三月は深き紅の淵を』の話。

 たった一人にたった一晩だけ貸すことが許された本をめぐる珠玉のミステリー。

 

〈感想・ネタバレ有り〉

 ≪三月は深き紅の淵を≫ このタイトルに惹かれ思わず本に手が伸びた。

一説によると「小説が6割、タイトルが4割で小説全体を決定する」とも言われている。

 ”夏空・青空”という言葉だとキラキラした青春小説をイメージするし、”曇り空・雨”だと難解な問題が潜んでいるそうな気がする。

 タイトルの言葉が読者に与えるイメージはとても大きいのかもしれない。

 

 確かに恋愛小説を読まない私は「あなた」や「君(きみ)」といった言葉がタイトルに入る作品はあまり手に取らない気がする。

 知らず知らずのうちに、手に取る本を選ばされているのだと思うと少しおもしろい。

 

 では≪三月は深き紅の淵を≫ではどんなイメージを持つだろうか?

作中では幻の本のタイトルがこの題材と同じ≪三月は深き紅の淵を≫である。

作中の登場人物たちは、このタイトルからどんな内容の作品をイメージしたのだろうか。

 

お気に入りは第2章

 幻の本”三月は深き紅の淵を”の作者を求めて、二人の女性編集者が出雲におもむく…。

 その寝台列車内で繰り広げられる2人の推理合戦が本章の読みどころである。

 

『作者は女性だろうか?男性だろうか?』

『若いだろうか?年をとっているだろうか?』

『一人で書いたのか?複数いるのだろうか?』

 この推理合戦がとても面白い。

何を持ってそう思うのか、読書好きにはたまらなく惹きこまれるやり取りが盛りだくさんだ。

 

 ハリー・ポッターの作者が名を伏せて出した作品が、本人が書いたものだと読み手にはわかってしまった、なんてニュースがあったのを知っているだろうか。

 文章にはその人の”人と成り”””が現れてしまう。

≪三月は深き紅の淵を≫の文章に出てしまった作者像とはいったいどんなモノなのだろうか。