読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

魔法少女のステッキ

好きなことを好きなだけ。

【感想】 すべて真夜中の恋人たち 川上未映子

『すべて真夜中の恋人たち』川上未映子 あらすじと感想

すべて真夜中の恋人たち (講談社文庫)
 

 〈あらすじ〉

 「真夜中は、なぜこんなにもきれいなんだろうと思う」。

わたしは、人と言葉を交わしたりすることにさえ自信が持てない。誰もいない部屋で校正の仕事をする、そんな日々のなかで三束さんにであった―――。

 芥川賞作家が描く究極の恋愛は、心迷うすべての人にかけがえのない光を教えてくれる。

 

〈感想・ネタバレ有り〉

 主人公の私・冬子は30代半ばで独身、性格も暗いと言われる。

今更何かに挑戦できる年齢でもなければ、そんな勇気だってない。毎日一人で校正の仕事を在宅でして過ごしている。

 そんな冬子は三束さんと出会って、少しずつ孤独感から解放されていくように感じていた。言葉が多いわけではない。でも三束さんのお話が、自分のヘタクソな話に答えてくれることが、まるで暖かい光が入ってくるみたいだった。

 

 こうやってザッと内容を振り返ると、冬子はこうして孤独から解放され幸せになりました。ちゃんちゃん。という話のようだが結末は全くことなる。

 恋愛小説だと思って読んでいたので、予想外の結末に結局何が言いたいのかよくわからなかったです。「みんな結局孤独なんだよ。」ってことなのかなあ。うーん。

 

 主人公の環境のせいもあって、かなり孤独をヒューチャ―している作品で、ちょっと鬱々しい印象を持ちました。

こんなにたくさんの人がいて、こんなにもたくさんの場所があって、こんなに無数の音や色がひしめきあっているのに、わたしが手を伸ばせるものはここにはただのひとつもなかった。わたしを呼び止めるものはただのひとつもなかった。

 冬子が孤独感を強く抱えているという描写がすごく多いです。

だからこそ三束さんの存在が物語の核のはずなんだけど、結末がなあ…。

と、いうのも三束さんもまた人には言えないような孤独を抱えていて冬子から離れて行ってしまうんです。お互いを好きあっている描写はあったんですけどね。

 

 ドラマや漫画みたいに上手くいかない、というところがリアルで良いのかもしれませんが、他の登場人物も闇を抱えているようなシーンがあるので、ちょっと重いなあと思いながら読んでいました。

 社会風刺なんか「おお!」と思わされるシーンもあったんですが、落ちているときに読むと気が滅入ってしまいそうです。

 

 「真夜中は、なぜこんなにきれいなんだろう」

 「それは、きっと、真夜中には世界が半分になるからですよ。」

 「昼間のおおきな光が去って、残された半分がありったけのちからで光ってみせるから、真夜中の光は特別なんですよ」

 私は読み取ることが出来なかったけど、”真夜中”に関してこんな会話があったので、この作品の言いたいことはこれに隠されているのかもしれないですね。