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魔法少女のステッキ

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【感想】 『さよならの扉』 平安寿子

読書

『さよならの扉』 平安寿子 あらすじと感想 

さよならの扉 (中公文庫)

さよならの扉 (中公文庫)

 

 〈あらすじ〉

 野依仁恵(のよりひとえ)は専業主婦。娘たちは家を出たが、夫の定年はまだ少し先。静かで幸せな生活が続くと彼女は信じていた。

 しかし、夫が末期ガンの宣告を受けた。延命治療を拒否し、静かに最期を迎えたいと宣言した夫は、愛人の存在を告白するのだった……。

はたして、仁恵がとった行動とは!?本妻と愛人の奇妙な関係を、ユーモラスに描いた長編小説。

 

〈感想・ネタバレ有り〉

 仁恵の性格にイライラしたのは私だけではないはず!

夫が死の直前に明らかにした愛人・志生子(しおこ)の存在に対して、妻・仁恵(ひとえ)がとった行動は!? という話なんだけれど、仁恵が子供っぽすぎるというか、末っ子感が強すぎて、すごく読むのに疲れてしまいました。

私は!私は!って主張してくるわりには、人の指摘には「そうなのかしら~」って。意地っ張りなのか、そうじゃないのかわからなかったし、多重人格かと思ったわ(笑)

 

 仁恵の行動も私にしてみたら『?』ばかりで。我を通す場所が変!

夫の愛人とコンタクトを取ろうとするのは分かる、でもこの仁恵は愛人の志生子に懐いちゃうんです。もちろん志生子は接触を極力避けようとするんですけど。

 空気が読めないというか、強引であるが故に志生子は仁恵をかわすことができず、何度も会うことになります。

 

 「え?」って思ったのが、志生子の父の病院に押しかけてきちゃうところ。「来ないで」って怒られたんだからそこは帰りなさいよ。しかも、この段階ではまだ志生子は仕方なく仁恵に会っている状況。なんか世間ズレしすぎているんだよなあ。

「私が本妻だったんだから」って意識が”何でも許される”に変換されるんだろうか。う~ん、共感できない!

 

 そして納得できないことに、どこにそんなきっかけが合ったのか二人はなんだかんだいって(志生子は完全には心を開いていない模様)、関わりが切れることなく生きていく、みたいな締めなんです。

本作に

 さよならの扉に、鍵はない。どうしようもなく絡み合った人生は死をもってしても切り離せず、扉を開けて何度も出入りを繰り返す。死が二人を分かつまで… (p.297)

 とあります。

 もうそれって一種の呪いなんじゃ?って思った私が間違っているのかなあ?

出逢いは全て『縁』だって言いたいのか、『深い縁』は始まりが複雑で切れない、と言いたいのか、私にはよくわかりませんでした。

 

 平安寿子さんの作品は日常的な内容にユーモラスとシニカルを含んでいるところが好きなのですが、今作『さよならの扉』は正直、つまらなかったです。