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魔法少女のステッキ

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こんな家族ってありなのか? 『グッドラックららばい』 平安寿子

『グッドラックららばい』平安寿子 あらすじと感想 

グッドラックららばい (講談社文庫)

グッドラックららばい (講談社文庫)

 

★<あらすじ> 

 プチ家出から何年も戻らない母、いいじゃないか、という”文鎮”こと父、ダメ男に貢いで飄々(ひょうひょう)と生きる姉、そんな家族にいらだち、上昇志向を実現しようと邁進する妹……。他人の迷惑を顧みず、「自分の気持ち」に素直に生きるタフな4人がここにいる。けちなモラルや常識なんて笑い飛ばす、新しい家族の物語。

  • 第一章 新しい日々
  • 第二章 結果オーライ
  • 第三章 ファイターのスピリット
  • 第四章 イン・マイ・ライフ
  • 第五章 プライドのサバイバル
  • 第六章 どうぞ勝手に、グッドラック

 

★〈感想・ネタバレ有り〉

 母が出て行ってしまった!一大事のはずなのに当人たち(父と姉)は何でもないことみたいに受け入れてしまった。妹だけはわーわー言っているかと思えば『母が出て行ったなんて、自分の評判が落ちる。家事だってしたくない。』なんて考えていた。なんだこの家族は・・・!そんなイメージを強烈に植えつけて物語はスタートする。

 

 しかも、母はなんと20年も帰ってこなかった。なんと家出のスタートは旅芸人についていく、といったこれまたなかなかのキテレツぶり。

 この片岡家にお節介を焼きたがる人々が出てくるが(父に再婚を進めたり)、それをひょいひょいっとかわしてしまう。正しく常識のあることを意見しているはずなのに、どうしても片岡家の人間を納得させることができない、このやり取りがとてもユーモラスで平安寿子さんの持ち味でもある。

 

 この作品には”家族らしさ”というものが全然主張されない。これは第六章を読むとわかるが、片岡家には「家族というものはひとりひとり別な人間の集まりであるからそれに左右されない」という考えがあるようだ。

 ではこの家族にとって『家族』とはいったい何なのか?というと母の鷹子がこのようなことを言っていた。

「家に帰るのは、疲れてからでいい。家はそのためにあるのだから。帰るというのはそういうことだから」

 このセリフに片岡家の在り方がつまっている気がした。ちなみに鷹子はこのセリフを自分自身に言うのだが、「お前が言うのか」と思わずツッコみたくなる。

 

 こんな変わった家族、片岡家の20年を描いた作品ですが、少しページ数は多いけれど面白く読むことができました。こんな自由な生き方、羨ましくならないわけがない。