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魔法少女のステッキ

好きなことを好きなだけ。

朝日のようにさわやかに 恩田陸

読書

「朝日のようにさわやかに 恩田陸」読み終えました

 

朝日のようにさわやかに(新潮文庫)

朝日のようにさわやかに(新潮文庫)

 

★〈あらすじ〉

 葬式帰りの中年男女四人が、居酒屋で何やら話し込んでいる。彼らは高校時代、文芸部のメンバーだった。同じ文芸部員が亡くなり、四人宛てに彼の小説原稿が遺されたからだ。しかしなぜ……(「楽園を追われて」)。

ある共通のイメージが連鎖して、意識の底に眠る謎めいた記憶を呼び覚ます奇妙な味わいの代表作など全14編。ジャンルを超越した色とりどりの物語世界を堪能できる秀逸な短編集。

  • 水晶の夜、翡翠の朝
  • ご案内
  • あなたと夜と音楽と
  • 冷凍みかん
  • 赤い毬
  • 深夜の食欲
  • いいわけ
  • 一千一秒殺人事件
  • おはなしのつづき
  • 邂逅について
  • 淋しいお城
  • 楽園を追われて
  • 卒業
  • 朝日のようにさわやかに

 

★〈感想・ネタバレ有り〉

 読み進めていくなかでも薄々感じることではあるが、本作を読み終えて感じたことは、恩田陸さんはあまり短編小説が得意ではないのだろうなあということだ。さらに、どこかで読んだことのある設定、背景だなと感じる小説も多かった。『夜のピクニック』や『木漏れ日に泳ぐ魚』を読んだことがある私にとっては不完全燃焼に感じてしまう作品であった。

 そんな作品の中で2編「水晶の朝、翡翠の夜」と「楽園に追われて」の感想をまとめておこうと思う。

 

『水晶の夜、翡翠の朝』 

 孤立した学校、ここは優雅な檻。ここではよく生徒がいなくなる。教師は「転校した」と説明するが、本当のところはわからない。そんな学校で奇妙な事件が起こった。この事件はどうやらある歌の歌詞の通りに犯行が行われていて…。いったい誰が何のために?

 というような話しである。私はサスペンスミステリー系の話が好きなので、こういう内容はスルスル読めました。ただ設定の説明(描写)が少なすぎるので結末にはビックリします。「え、そんなこと一言もなかったよね」という感じ。個人的に設定の後だしってズルいと思うんですよね。でも話自体は好みだったし、面白くよめたのでまあオッケー。

 

『楽園を追われて』

 は裏表紙にあらすじが載せられていたので一押しの作品なんだろうな、という印象。確かに登場人物の設定や心理描写は丁寧だったなと感じました。

 亡くなってしまった元同級生が四人に小説を遺した理由を追う作品のなかと思っていましたが、違いました。彼が小説を遺し、且つ相手を四人に指定したのは、四人にまた集まってもらいたかったから。それだけ。「え?」って感じじゃないですか?小説には事件性も遺言みたいなものもなく、本当に四人を集める役割しか持ってないのです。本作はおそらく、青春を振り返ってノスタルジーな気分になることを目的とした作品なんじゃないかと自己解釈をしました。そう考えると好きな人は好きな系統だろうなと思います。

 

恩田陸さん、長編はすごく読み応えのある作家さんだと思うのですが、短編小説は正直私はもういいかな、と思います。