魔法少女のステッキ

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虹の岬の喫茶店 森沢明夫

岬の上の喫茶店  森沢明夫

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〈あらすじ〉

 小さな岬の先端にある喫茶店。そこでは美味しいコーヒーとともに、お客さんの人生に寄り添う音楽を選曲してくれる。その店に引き寄せられるように集まる、心に傷を抱えた人々。彼らの人生は、その店との出会いと女主人の言葉で大きく変化し始める。疲れた心にやさしさが染み入り、温かな感情で満たされる。癒しの傑作感涙小説。

>目次

  • 第三章 ≪秋≫ザ・プレイヤー
  • 第四章 ≪冬≫ラブ・ミー・テンダー
  • 第五章 ≪春≫サンキュー・フォー・ザ・ミュージック
  • 第六章 ≪夏≫岬の風と波の音

〈感想・ネタバレ有〉

 この喫茶店は少々訪れにくいところに存在している。案内看板もあるが注目していないと見落としてしまうかもしれない。偶然その喫茶店にたどり着くことができた登場人物たちは、読み手(私)からするとまるで“選ばれし者”のようで羨ましい。柏木悦子の優しい語り、美味しいコーヒー、ステキな音楽、そしてココから描かれたであろう絵、がココ「岬カフェ」を訪れる人をもてなしてくれるのだ。


 この悦子さんという女性、実はものすごくスゴイ人なのではないかと私は思っている。未来に不安を抱えている人も、現状に絶望している人も、いつの間にか悦子さんのペースにのまれている。初めはイライラしていたり、落ち込んでいた者たちが、悦子さんの語りとコーヒーによって、気が付くと温かでゆっくりとした時間を過ごしているのである。


 『この店に行きたい。ここでコーヒーを飲みながら話を聞いてほしい。』本作を読んだ人の多くが感じるのではないか。私もその一人だ。小さなぬくもりが誰かの大きな支えになる。すごくあたたかい物語だった。人が行き詰った時に必要になるのは、このような癒しなのかもしれない。


 表紙によると映画化しているみたいなので、少し気になる。いったい何章が採用されているんだろう?個人的には「第四章 ≪冬≫ラブ・ミー・テンダー」が大人の切ない恋心をほろ苦く描写されていて好きだったので、この章だったらいいなあと思います。