魔法少女のステッキ

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幸福な生活 百田尚樹


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 実は百田尚樹さんの作品はじめましてなんです。有名すぎる方の本って意外と逆に手が出せない性分なんです。でも、とても読みやすかったです。この作品ではオチの置き方や伏線の回収なんかが本多孝好さんに似ているなと感じました。(本多孝好さん基準ですいません。好きなんです。)

あらすじ

 「ご主人の欠点は浮気性」帰宅すると不倫相手が妻と談笑していた。こんな夜遅くに、なぜ彼女が俺の家に?二人の関係はバレたのか?動揺する俺に彼女の行動はエスカレートする。彼女の目的歯何か?平穏な結婚生活を脅かす危機。
 愛する人の“秘密”を描く傑作集!

感想・ネタバレ有り

 これ、短編かと思ったらショートショートだったでごさる。だいたい1話20ページで必ず最後は一言で終わる。でもそのヒトコトが秘密の確信をつくものになっている。最後の1ページをめくるドキドキ感がたまらなかった。ちょっとクセになる感じ。

 「幸福な生活」というタイトルからは“幸せ”なストーリーが連想されたが、実際は“幸せな生活”に隠されている“闇”が明らかになっていく話だった。

 私が気に入った話は「生命保険」「ブス談義」「豹変」「深夜の乗客」。
 「生命保険」という話はリアルでも意外とありそうだなと感じた。劇団を使って自分を格好良く見えるシーンを作り出す。そして意中の相手の好意を得た。が、それがバレてしまうという話。

 「豹変」「ブス談義」は何番煎じ?という感じではあるけれど、他聞単純に私がこういう話が好き。「ブス談義」では男が真実に近付くにつれて感じる焦りが手に取るように伝わってきてゾクゾクした。

 「深夜の乗客」は読んでいて本当に騙されてしまった。読みながら『幽霊を確信づけるものはないか』と探していたくらいなので本当に意表をつかれた。けれどそこがすごく楽しい。本ならではだなと思う。

 個人的には押されているであろう「幸福な生活」と「夜の訪問者」はイマイチだった。ちょっと無理矢理な設定が使われている話もあるけれど、大部分が日常に沿ったものなので、登場人物の心理変化がわかりやすいし、第三者としてではなく、当事者になったように物語に入っていける。初めはショートショート形式に物足りなさを感じてちょっと不満があったけれど、振り返ると短いからこそ無駄がなくスピード感が出ていた様に思う。その結果、思わずページをめくってしまう、そんな作品だった。