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魔法少女のステッキ

好きなことを好きなだけ。

正義のミカタ 本多孝好

正義のミカタ〜Im a loser〜 本多孝好


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 本多孝好さんの作品を読むのがすごく好きです。ファンなので盲目的な感情がないとは言えませんが、非常に読みやすい文章を書く方だと思っています。

『正義のミカタ』

 高校時代までいじめられっ子だった蓮見亮太は、一念発起して大学へ進んだ。キャンパスライフを夢みていたが、いじめの主犯まで入学していた。ひょんなことから「正義の味方研究部」にスカウトされた亮太は様々な事件に関わっていく。


 「正義の味方研究部」はまるでアニメや漫画なんかの生徒会ポジションだ。『悪』を大人の力を借りず自分達で裁き解決へと導いていく。そんな要は「ヒーロー」組織に属していま亮太だが、次第に違和感を抱くようになる。これはいじめられっ子の視点ならではだと思った。「正義の味方である自分に酔っている気持ちって、まったくないですか?」という問いかけはまさにその通りだと思う。『良い事をする』ではなく『良い事をしている(できる)自分』が好きな人って意外と多いんじゃないかな。「やらない善よりやる偽善」って考えも有るので何が正しいって話じゃないけど。

 第5章では不公平のスパイラルから抜け出そうと考えている男、風間先輩が出てくる。この人はとてもプレゼン能力が高くて、でも押し付けがましくない、裏のリーダーと呼ばれる素質を持っている人だと思う。すごく格好良い。まあ、実は悪い人なんですが。彼の主張から気になったセリフをピックアップしたい。

  1. 「相手の土壌なんか乗らず、自分のレールを作れば良い。正しく努力するっていうのは、そういう意味だよ」
  2. 「アルバイトっていうのは、要するに時間の切り売りだ。たんまりと可能性を秘めた、今の君がやることじゃない。」
  3. 「世の中は不公平だ。そして不公平さの最大の問題は、絶対的な不公平なんて存在しないことだ。」

 1つ目2つ目は、主に学生に宛てた言葉だと思っている。学歴勝負をすると日本では東大出身であることか一番だ。だからそこで勝負するのではなく、君自身の主張できることで闘えば良いんだよ。そういう努力をするのが賢いよ、ってメッセージだと思っている。
 2つ目は大学生に、かな?学業よりバイト、遊びがメインになっている人多いからなあ。就活でよくアルバイトを社会経験としてアピールする人いるけど、なんだかなあって思う。『接客業で挨拶の必要さを学びました。』ってそんなこと幼子でもわかることだと思うんですけどね。アルバイトがダメなワケじゃなくて、そこで何を考えるか、が大事なんだろうな。

 3つ目は「努力は必ず報われる、報われないのは努力が足りないからだ」の内容に関して述べているのかなと思う。“才能や環境に恵まれている人がいる”これは凡人から見たら平等ではない。つまり不公平と言えるだろう。でも凡人がこれを主張すると『努力が足りない』とされてしまう。
 私が「努力」系の名言が苦手だったのはこの“不公平さ”が“不公平だと捉えられない”ことからくるものだったのだなと感じた。

 「正義のミカタ」は様々な人間のそれぞれの在り方がとても人間臭く描かれている。きっと誰かに共感できるだろう。