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魔法少女のステッキ

好きなことを好きなだけ。

PK 伊坂幸太郎

読書

PK 伊坂幸太郎


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あらすじ
 人は時折、勇気を試される。落下する子供を、間一髪で抱きとめた男。その姿に鼓舞された少年は、年月を経て、今度は自分が試される場面に立つ。勇気と臆病が連鎖し、絡み合って歴史は作られ、小さな決断がドミノを倒すきっかけをつくる。三つの物語を繋ぐものは何か。読み解いた先に、ある世界が浮かび上がる。

  • PK
  • 超人
  • 密使

感想・ネタバレ有り
 「PK」と「超人」はおそらく時代背景がほぼ同じである。「PK」の主人公“大臣”は、議員になった頃に落ちてくる子供を助けたことがある。「超人」で大臣の父親の元へその子供が(偶然?)訪ねてくる。子供(本田)はケータイのメールに「未来に起きる殺人」の詳細が届くという不可解な経験をしていた。だがこのメールは本田本人のみにしか見れず、他者にはただのダイレクトメールにしか見れないのだ。

 「PK」と「超人」で同じ出来事が語られるシーンがある。内容は大臣の父親の浮気についてなのだが、双方の内容には違いが存在するのである。その違いとは「ゴキブリ」の存在であることは、読んだ人には明らかだろう。この違いは何故生まれたのか?これについては「密使」を読み終えたあと自分なりに考察してみた。

 「密使」では耐性菌の蔓延によって将来、人類は多大な影響を受ける。それを阻止し、そんな未来を変えたいのだという。未来を変えるためには過去を変化させる必要がある。現代に影響を与えすぎず、耐性菌には影響を与える、その密使として選ばれたモノがなんと「ゴキブリ」だったのだ。

 この「ゴキブリ」が「PK」と「超人」での浮気の違いに影響を与えている。「PK」が密使による影響を受けた世界で、「超人」が受けなかった世界ではないだろうか。

 ここからも個人的な解釈ではあるが、「密使」での“私”と“僕”はおそらく同じ時代に生きている。“私”は過去にゴキブリを送ることが現時点で最善策だと思っている。“僕”は(おそらく)未来人からコンタクトを取られ、未来人にとっての“現代”では現代より良い最善策があるのだと知らされる。「そのためにはあのゴキブリが必要なんだ。盗ってきてくれ」そんな使命を受ける、といった感じではないだろうか。

 『PK』という作品は時間軸が読み取りづらくて目が回りそうだった。全てを読み終えて、こういうことだったのかなと自分なりに考える必要がありそうだ。

 本作品の話ではないが、以前読んだ「四畳半神話大系 森見登美彦」もパラレルワールドについて語られていた。そして偶然にも“小津”という同姓のキャラクターも存在する。違う作家の作品で共通点を見つけれるのはなかなか嬉しいものだと感じた。

四畳半神話大系 森見登美彦 - 魔法少女のステッキ



 作品の「臆病は伝染する。そして、勇気も伝染する」というフレーズが格好よくてお気に入りだ。伊坂作品はお洒落な言い回しが多く、そんなところも読んでいて楽しい。

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