読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

魔法少女のステッキ

好きなことを好きなだけ。

四畳半神話大系 森見登美彦

四畳半神話大系 森見登美彦 を読んだ感想。

f:id:arasukkiri:20150912164058j:plain

あらすじ
 「私」は冴えない大学3回生。バラ色のキャンパスライフを想像していたのに、現実は程遠い。悪友の小津には振り回され、謎の自由人樋口師匠には無理な要求をされ、孤高の乙女・明石さんとは、なかなかお近づきになれない。いっそのこと、ぴかぴかの1回生に戻って大学生活をやり直したい!さ迷い込んだ4つの並行世界で繰り広げられる、滅法おかしくて、ちょっぴりほろ苦い青春ストーリー。

  • 第一話 四畳半恋ノ邪魔者
  • 第二話 四畳半自虐的代理代理戦争
  • 第三話 四畳半の甘い生活
  • 最終話 八十日間四畳半一周

感想・ネタバレ有
 大学生活がうまくいかないのは、1回生の時に入ったサークルが失敗だったからだ、「私は」そう思っている。各章は「私」が全てことなるサークルに属したとしたら…の御話で、全章「私」が大学3回生の時から物語がスタートする。だが、各章の「私」はそれぞれ別のスタートをきったはずであるのに、現状は大差がない。どの「私」も大学生活がうまく行っておらず、憧れたキャンパスライフとはかけ離れているのだ。つまりどの選択をしていても「私」は「私」でしかないのだ。「私」であるかぎり未来はそう違わないと取ることができる。読み手からすると「私」の大学生活は華やかではないにしろ、卑屈になる程ではないと思えるのだが。話のネタも豊富で私からするの少し羨ましいくらいである。

 最終話で「私」は四畳半の自室に閉じ込められてしまう。窓を開けても扉を開けても、そこにはまた四畳半の自室が広がっていた。ガムシャラに部屋を進んでいくなかで、部屋と部屋には、違いがあることに気が付く。それは第一話〜第三話での「私」が過ごしていた部屋であった。ビデオがあったり、人形があったり、たわしがあったり。そこで「私」自身はどの選択をしていても大差ないのだと悟るのである。

 複数の選択肢があり、その選択がいい方向に進まなかった時、おそらくほとんどの人が後悔をする。しかし、どれを選んでもそんなに大差がないかもしれないという考えを持っていると、少し楽観的に生きていける気がする。

 「私」はどの選択(サークル)を選んでも、必ずある人物たちと深く関わっていく。それがであったり運命である様に感じられてとても微笑ましい。私が今と違う選択をしていても、私の周りにいる人達は側にいる人達だったのだろうか、なんて少しロマンティックなことを考えたりする。

 一つ私が理解出来なかったことが、樋口師匠の存在である。彼は神様の様に描かれる章もあれば、だだの傍観者のように描かれる章もある。一体何者なのだろうか。

作中の『成就した恋ほど語るに値しないものはない』という言い回しがはとても好きだった。同感でき、是非今後使っていきたい所存である(笑)

 本作品は「私」が語り手をつとめている。年齢が近いこともあってか、私には共感できる感情描写が多く読みやすかった。より大人な人が読者であると、馬鹿だなあ、子供だなあ、なんて思いながら懐かしみながら読める作品ではないかと思う。