魔法少女のステッキ

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「ネバーランド」 恩田陸

ネバーランド」 恩田陸


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  • あらすじ

冬休みを迎え多くが帰省していく中、事情を抱えた4人の少年が寮「松籟館」へ残ることとなった。ひとけのない古い寮で4人だけの自由で孤独な休暇が始まる。「告白ゲーム」をきっかけに起こる事件。それぞれが隠し抱える「秘密」が明らかになっていく。

  • 感想・ネタバレ

ネバーランド」ときくと、子供しか住めない世界などと思い浮かぶ。4人にとっての寮がそういった今だけの特別な場所、という意味を含んでいるのだろうか。
物語はすごくシンプルである。殺人が起きたり、誰かが能力者だ、なんていうことはない。4人だけの男子高校生が寮で生活を送る、これが話の基本である。まあ、「告白ゲーム」での統の話からサスペンスが始まってしまうのではないかと思ったが。

それぞれが抱えている「秘密」、それによってできた「傷」。正直、私は意外性を感じることは出来なかった。が、だからこそ4人の普遍性と独特な個性が上手く表現されていたと思う。日常の中で4人が大人になるために前を向くのが伝わってくる描写だった。

ただその「秘密」を乗り越えるためのさらなる壁だったり、スパイスみたいなものが個人的に足りなかったなあと思う。
「傷」を自覚して向き合って終わり、みたいな。

4人の関係性の変化はとても読みやすかったし、微笑ましいシーンもいくつもあった。読み終わるとどことなく切なくて、暖かな気持ちになった。ノスタルジーな感情に浸してくれる作品なのではないかと思う。