魔法少女のステッキ

好きなことを好きなだけ。

WILL 本多孝好

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WILL 本多孝好 著

読み終わりました。

  • あらすじ

11年前に両親を事故で亡くし、家業の葬儀屋を継いだ森野。葬儀の直後に届けられた死者からのメッセージ。葬儀のやり直しを要求する女。生まれ変わりだという少年。ー死者たちは何を語ろうとし、残された者は何を思うのか。

  • 感想(ネタバレ有り)

『MOMENT』のサブキャラクターのストーリー。『MOMENT』での森野のキャラクターはすごく男勝りに感じたが本作品では冷静、考えて考えて言葉を発する、不器用。そんなイメージを抱きながら読んでいました。

竹井という葬儀屋従業員の男がでてくるんですが、章を読みすすめるうちにじわじわきます。『想い人』という章ではすごく良い立ち位置で、口数少ない人が言うから響く言葉だなと思わされました。
人を好きになるのは、いろんなベクトルがあるんだなあ、とも。私は森野と同じで読んでいて少年の独白には『は、え?』というタイプでした。
少年→里子は憧れでも、ジイちゃん→里子は憧れの枠から外れてしまっている気はしましたが。

エピローグでは、親から子への愛情、子から親への想いが感じ取れました。個人的に佐伯家のその後がとても気になる!
森野がとても人間味がある章だったと思います。『爪痕』では葬儀のやり直しを断ったのに、自分のはやり直せたのは喪主の意思が合致したからなのかな?

全然気が付かなかったんですけど、森野の名前って最後まで描かれてなかったんですかね。いや、神田の『未来を迎えに来た。』っていうセリフも「あなたの未来を下さい」だと私は初見で捉えたので、もしかしたらどこかに出てたのかな。
二人の恋愛模様はほとんど描かれていないのに、最後にすごくキュンとしてしまった。森野すごく女の子らしかった。

『人の死』が基軸となっているので完全ハッピーというわけでは決してないのですが、死ぬまでの温かい記憶だったり、残された者の葛藤だったり、それを乗り越えて前を向いて生きていく。それが綺麗すぎるものでなくて、人間臭さみたいな感情が散りばめられていて、読み終えた後に切なさや、安堵感で胸がぎゅっとなりました。


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